日本オペレーションズ・リサーチ学会 中国・四国支部 研究部会

(支部研究部会)「SCM&サービス工学」研究部会

主査: 上野信行(県立広島大学) 幹事:韓虎剛(県立広島大学),谷崎隆士(近畿大学),堂本絵理(広島経済大学)

第1回日時:平成24年9月29日(土)14:00-17:30
会場:広島経済大学立町キャンパス 131教室(広島市中区立町2−25 IG石田学園ビル(旧広島ロプロビル))
共催:日本経営システム学会 中国四国支部
後援:経営工学会中国四国支部
講師1:市橋 勝 氏 (広島大学 国際協力研究科 教授)
題目1:「環境情報が消費者行動に与える影響に関するマクロ経済的インパクトについて」
概要1: 一般的に言って,積極的な環境対策は,炭素税その他の費用制約によってエネルギー関連財のコストを上昇させるだけではなく,より省エネを可能とする技術開発・利用や,CO2等排出量をより多く削減し得る生産方法の導入を促進するであろうから,製品価格一般を上昇させると予測できる.他方で,このことは需要の抑制効果を持つので,結果として経済活動全体にプラスとなるのかマイナスとなるのかは,自明ではない.しかも,消費者の環境問題に対する意識が高まれば,このような効果は一層不確実な状況になる.本報告では,炭素税のような政策が,需要と供給の両面の関係を通じて,どのような効果をもたらし得るか,部門別,地域別に定量分析した結果を報告する.
講師2:羽森 寛 氏(オー・エイチ・ティー(株)取締役研究開発部長)
題目2:「フラットパネル業界にみる国内産業空洞化の現状と課題」
概要2: 液晶、プラズマ、有機ELなどに代表されるフラットパネル産業は、市場の激しい競争による価格下落により、各社苦戦が続いている。中でも、国内の家電メーカーにおいては主要各社が歴史的赤字決算を発表するなど、極めて厳しい状況にある。さらに、フラットパネル製造工場を支える製造装置機器メーカー各社は、徹底的な原価低減による利益確保を模索し、海外現地生産へシフトしていることで、国内産業の空洞化が加速している。これらの現状と課題について実例を挙げながら報告する。
第2回日時:平成25年1月26日(土)14:00-17:30
場所:広島経済大学 立町キャンパス 131教室(広島市中区立町2-25 IG石田学園ビル(旧広島ロプロビル))
共催:日本経営システム学会中国四国支部
協賛:日本生産管理学会 中国四国支部,日本経営工学会 中国四国支部
後援:計測自動制御学会 中国支部
講師1:梅谷 俊治 氏 (大阪大学 大学院情報科学研究科 准教授,科学技術振興機構 さきがけ研究者)
題目1:「一般化上界制約付き集合多重被覆問題に対する発見的解法」
概要1: 集合被覆問題は,配送計画問題や人員配置計画問題など多くの現実問題を応用に持つ代表的な組合せ最適化問題の一つである.本研究では,集合被覆問題に多重被覆制約と一般化上界制約を導入した一般化上界付き集合多重被覆問題に対して効率的な発見的解法を提案する.これらの制約は集合被覆問題の応用事例において頻 繁に現れる追加制約であり,本研究の提案解法により,人員スケジューリング問題における職種毎の人数制限,配送計画問題における車種毎の台数制限,データの論理的解析におけるロバストな解析など,幅広い応用事例に対応できるようになる.
講師2:一藤 裕 氏 (情報・システム研究機構 新領域融合研究センター)
題目2:「Webデータ駆動型情報循環システム--Web予約データを利用した観光活性および災害対応--」
概要2: インターネットの普及や携帯端末の高性能化に伴い、様々なデータがWeb上にアップロードされるようになっている。これらのデータを解析し、現実世界へ適切にフィードバックする情報循環の仕組みを構築できれば、より良い社会の実現が期待できる。本講演では、Web上の予約データに着目し、京都市をモデルケースとして、宿泊施設のWeb予約データを収集解析することで、宿泊施設の空室数や混雑状況、さらには宿泊料金を推定・予測できることを紹介する。また、仙台市をモデルケースとして、宿泊施設の予約データを観測することで、震災からの復興状況を可視化できることを紹介し、現実空間とWeb空間の情報循環を利用した観光活性および災害対応へどのように繋げていくかを議論する。
第3回日時:平成25年3月2日(土)14:00-17:30
場所:広島経済大学立町キャンパス(住所:広島市中区立町2−25 IG石田学園ビル(旧広島ロプロビル))
共催:日本経営システム学会中国四国支部
協賛:日本生産管理学会 中国四国支部
後援:電子情報通信学会 中国支部
講師1:川勝 英史氏(尾道市立大学 経済情報学部 准教授)
題目1:「尾道の景色の定量的評価とメロディー化」
概要1: 尾道の風景は,古来より現在に至るまで,歌人や芸術家に心地良いと評価され続けている.この理由について,尾道の景色を撮影した写真を定量的に測定することを通じて考察する. 写真の測定方法には,フーリエ変換を応用した既存の方法を適用する.測定値に応じていくつかのグループに写真を分類し,それぞれのグループに分類された写真の特徴について明らかにする.また,測定方法を応用することにより,写真からメロディーを抽出する方法についても提案する.
講師2:津田 博史氏(同志社大学 理工学部 教授)
題目2:「Web予約データに基づくホテルの客室稼働率の推定とその変動要因分析」
概要2: ネット社会が広がる中,近年ではcyber worldを利用したビジネスが急速に拡大してきており,観光産業においても例外ではない.昨今,各旅行会社が企画・運営している旅行プランに満足できず,旅行会社に企画してもらうのではなく,自分で旅行プランを立てる人の数が増加してきている.このような人々は個人旅行者と呼ばれ,個人旅行者の多くはインターネットを利用してホテルの宿泊予約を行いつつある.インターネット上で宿泊場所を選択し,いくつかのホテルを比較して,ホテル、および、ホテルが提案するプランを予約することにより,旅行代理店に出向く手間が省け,個人の希望に沿った自由度の高い旅行プランを立てることができるからである.今後のIT産業の発展も考慮に入れると,このようにインターネットを通してホテルの宿泊予約をする人が増加することが予想される.そこで,今回の講演では,京都市内のホテルを分析対象とし,Webデータに基づき各ホテルの客室稼働率の推定を行うと共に,その稼働率の変動要因,また,個人旅行者が宿泊先のホテルをどのような理由で選択しているかなどの分析を行った。ホテルの立地条件、規模やタイプなどにより稼働率に差が出るなど有意義な知見が得られたので、それらについて解説する.

(支部研究部会)「地方都市交通の数理解析」研究部会

主査: 福山敬(鳥取大学),幹事:谷本圭志(鳥取大学),小柳淳二(鳥取大学),佐藤毅(鳥取大学)

第1回日時:平成24年12月11日(火) 16:45-18:00
場所:鳥取大学工学部社会開発システム工学科棟3F 3512室(〒680-8552 鳥取市湖山町南4丁目101)
講師:水上 啓吾 氏(鳥取環境大学 地域イノベーション研究センター)
題目:「財政投融資の展開と再編」
概要: 本報告では、戦後の公共事業を支えてきた財政投融資の機能の変化について概説する。そもそも財政投融資の初期の目的は戦後復興期の産業資金供給であったが、徐々にインフラ整備向け融資及び住宅関連融資の資金として用いられるようになった。ただし、インフラ整備が地方まですすみ、住宅融資が急増すると、既に整備が終了している都市部住民の支持を失うとともに不動産バブルの遠因になっていく。こうした変化は本来財政投融資に求められる資源配分機能及び経済安定化機能が十分に発揮されなくなることを意味していた。その結果、財政投融資は、国債政策に巻き込まれるとともに、財投改革にむかうこととなった。
第2回日時:平成24年12月14日(金) 16:45-18:00
場所:鳥取大学工学部社会開発システム工学科棟3F 3512室(〒680-8552 鳥取市湖山町南4丁目101)
講師:榊原 弘之 氏(鳥取大学 大学院理工学研究科 システム設計工学系専攻)
題目:「「まちづくり」と「ことば」の関係性に関する考察」
概要: アセットマネジメントとは,限られた予算を道路や橋梁などの社会資本に最適に配分することで求められる価値やサービスレベルを達成することである.予防保全,事後保全・予防管理からなるアセットマネジメント体制のわが国の現状と取り組みを紹介する.さらに,京都府での府民協働による道路資産有効活用例やアセットマネジメントの国際規格案作成の動きを紹介する.アセットマネジメントの今後の重要な課題として,計画的予防補修のための安定的財源確保,精度の高い劣化予測のためのデータ収集,PDCAサイクルに基づく効率的継続的なマネジメントの確立が挙げられる.
第3回日時:平成25年1月29日(火) 16:30-18:20
場所:鳥取大学工学部土木工学科棟4F 4415室(〒680-8552 鳥取市湖山町南4丁目101)
講師:小林 潔司 氏(京都大学 教授,経営管理大学院経営研究センター長(前大学院長))
題目:「中山間地域における地域協働とアセットマネジメント」
概要: 中心市街地の空洞化の現状について,特に商業データや住民意識アンケートなどにより鳥取市を対象にその解明を図る.また,郊外型大規模商業施設と中心市街地商業の住み分け共生の可能性について,商業マネジメントとの視点から具体的な策を提案する. 特に,郊外型商業施設の強みと弱みをふまえた上で中心市街地商業として成立可能な業種・業態や欠落アイテム・都心回帰対応アイテムを明らかにした.また,買い回り性の向上・売場面積調整・駅周辺集約化などの対応策をあぶり出し,さらに,行政にとって有効と考えられる誘致政策やインフラ投資政策のあり方に言及した.

日本オペレーションズ・リサーチ学会 中国・四国支部事務局(orsj.chushikoku@gmail.com)